<<DVD>>



ふと思ったよの巻




DVDが出てから、3回通して見てみました。
私が見ていると後ろで母親が見に来たり、弟が見に来たり。

で、ふと気がついた事をつらつらと。


ずっと千尋の視線で物語を見て来たので、そういう事は思わなかったのですが。
ふと「この物語を湯婆婆の視線で見たらどうなるだろう」と思い、その視点で見てみました。


千尋………疫病神( ̄▽ ̄lll)


としか思えないんですよ、これがまた!!!(汗)

湯婆婆は、経営者であり会社で言えば社長みたいなもんです。
経営者は何はしておきまず儲けの事を考えます。ビジネスですから、人情がどーの感情がどーのと言ってるとそれに振り回されてしまい、経営がうまくいかなくなる事が多くなります。
ですから、非情と思えるくらいに厳しく接してちょうどいいのです。
実際に私たちの世界でも、成功した人というのは湯婆婆なんて足下にも及ばないくらいシビアです。
坊に対しては甘い湯婆婆は、まだ優しい方でしょう。



千尋ははっきり言えば「役立たず」です。
年齢も幼いから春を売る湯女としては使えませんし、まず何よりお客様である神々をこんな風な状態に追いやった「人間」ですから、千尋がいるだけで反感を覚えるお客様もいるでしょう。それだけで湯屋のイメージダウンに繋がるかもしれません。百害あって一利ナシの存在が、人間である千尋です。
千尋が「働かせてください」と何度頼んでもそれを拒み続けた湯婆婆の行動は、しごく当然のものです。
あの時坊が泣き出さなかったら、きっと千尋は幾ら頼んでも湯婆婆に仕事を貰う事は出来なかったでしょう。

そしてその後、確かに千尋は川の主をうまく接待して湯屋に利益をもたらしますが、その後のカオナシの一件で湯屋に大損害を与えています。
数えあげるだけでも


・カオナシに出した料理の数々
・風呂に使った水や燃料代、薬草代
・人件費
・カオナシがまき散らした汚物の処理(笑)
・それに関する畳や襖の総替え(あれではもう使えないでしょう……)
・割れてしまった皿



などなど…………。


その上カオナシが出した金は偽物でしたから、湯婆婆は全く利益を得なかった事になります。
もちろん、カオナシをここまで応対してまつりあげてしまったのは兄役や従業員たちですので、全てが千尋のせいではありませんが………しかし全く責任がないとは言い切れません。

そして、ハクを助ける為とはいえ無断で湯屋を飛び出し、帰って来たらそのまま契約を破棄して人間界へととんぼ返りしてしまった訳です――――それまでの損害に対する責任を負う事もなく。
そんな千尋を、湯婆婆が快く送り出せる筈もありません。

「ふん、いっちまいな!」
という言葉だけで済ませる事が出来た湯婆婆は、思った以上に優しい人なのだと推測する事も出来るかもしれません。


ハクの視点、リンの視点、坊の視点、釜爺の視点で見るとまた違った物語が浮かび上がってくるかもしれません。
うーん、奧が深いなぁ…………。